取り調べの可視化と個人情報保護

投稿者: | 2015年6月23日

法制審議会はこのほど殺人事件等の重大事件に関する取り調べに関して、その過程を録音・録画することを義務化するよう刑事訴訟法の改正案を決定しました。早ければ来年1月の通常国会で成立し、裁判員裁判と検察による独自捜査に関する重大事件の取り調べが録音・録画されることになります。

現在刑事事件の取り調べは言わば密室で行われています。刑事ドラマでよく目にするような国家権力を背負っての強硬な取り調べが行われるなど、取り調べ方法に問題がなかったか、供述内容が信用するに足るものであるか、などを録音・録画を通じてより公正に判断しようとするものです。

取り調べの可視化と個人情報保護

個人情報保護の観点からは、取り調べに関する過程の録音・録画は、刑事訴訟法という法令に基づく場合であるとして、被疑者本人からの同意を得ずして行うことができます。オープンな環境のなかで公正な取り調べが行われ、これをもとに裁判官によるより正しい判断を期待しようとするものです。

取り調べの可視化とともに司法取引の法制化も検討されています。被疑者が他人の犯罪行為を明かせば刑事処分を軽くするというものです。他人の情報を提供するわけですから、個人情報保護の観点からは第三者提供になります。しかしこれも刑事訴訟法という法令に基づく場合であるとして、本人からの事前の同意取得は不要とされています。取り調べの可視化、司法取引、いずれも個人情報の保護に関わってくる問題ではありますが、犯罪の抑制、公正な裁判、社会秩序の維持といった面を重視して個人情報保護法には特例措置が設けられているということです。